投稿日:2017年11月24日 コラム
こんにちは。
コーチングオフィス エンの大石です。
いつもありがとうございます。
11月も後半となり、今年も残すところあと1ヶ月あまり。
夜の街には、クリスマスを意識したイルミネーションが輝いています。
年末に向けて、世間ではどことなく慌ただしい雰囲気になりますが、
個人的には、皆の心がどこかワクワクしているようなこの時期の光景が気に入っています。
さて、今日は、中国古典『孫子』について書きたいと思います。
前回のコラムでは「五事七計」について取り上げましたが、今回はその続きです。
前回のコラムはこちら
https://coaching-en.com/column/2017/11/sonshi03.html
『孫子』の中で、「五事」とは「道・天・地・将・法」のことを言い、
将(リーダー)たる者はこれらのことをただ知っているだけではなく、
深く理解していることが肝要であると主張しています。
さらに『孫子』では、それらを7つのスケールをもって計れ(判断せよ)と言っています。
これを「五事」に対して「七計」と呼んでいます。
前回同様に、『孫子』(金谷治訳注 岩波文庫)より、その部分を抜粋してみます。
「(前略)故にこれを校(くら)ぶるに計を以てして、其の情を索(もと)む。
曰わく、主 いずれか有道なる、将 いずれか有能なる、天地 いずれか得たる、
法令 いずれか行なわる、兵衆 いずれか強き、士卒 いずれか練(なら)いたる、
賞罰 いずれか明らかなると。吾れ此れを以て勝負を知る。」
それゆえ、[深い理解を得た者は、七つの]目算で比べあわせてその時の実情を求めるのである。
すなわち、君主は[敵と身方とで]いずれが人心を得ているか、将軍は[敵と身方とで]いずれが有能であるか、
自然界のめぐりと土地の情況とはいずれに有利であるか、法令はどちらが遵守されているか、
軍隊はどちらが強いか、士卒はどちらがよく訓練されているか、
賞罰はどちらが公明に行なわれているかということで、わたしは、
これらのことによって、[戦わずしてすでに]勝敗を知るのである。
この「七計」とは、本来は、ひとつひとつの項目において
敵軍(相手)と自軍(自分)との状況を比較検討するために用意されたものですが、
会社組織に当てはめるのであれば、「ブレない基準」として持っておいて良いかもしれません。
つまり、
経営者は社員の心を掴んでいるか、リーダーは優秀であるかどうか、
事業活動や立地条件は、適したタイミングや条件であるかどうか、
組織のルールや管理体制は、きちんと守られているかどうか、
メンバーは、しっかりとトレーニングを受けているかどうか、
そして、メンバーへの賞罰は、公正・公平に行なわれているかどうか。
組織にいわゆる「五事」はあっても、それらを明確に計る(判断する)ための
スケールを持ち合わせていない組織は、意外に多いのではないでしょうか。
その意味で、『孫子』の「五事七計」を学ぶことは、
組織の「あり方」をあらためて考えさせてくれる良い機会となりそうです。
現代人の多くは、必要な“モノ”は一通り持っています。
このことから、人々の欲求は、次第に“モノ”から“コト”へと移行しつつあり、それに連動するかのように、人々の価値観は、“結果”から“プロセス”へと移行し始めています。
現代においてコーチングが支持されるのは、私たちコーチが、「クライアントとパートナー関係を築くことにより、クライアントの目標達成までのプロセスを管理できる専門家」だからと言えるのではないでしょうか。
コーチングオフィス エン代表 大石 典史