投稿日:2026年03月27日 BLOG

現在、私はプロコーチとして活動しています。
主たる事業は、銀座コーチングスクール(GCS)丸の内校・名古屋校の運営(具体的には講師業)ということになりますが、本日は、この仕事の中で感じるちょっとした違和感についてお話したいと思います。
GCSのカリキュラム構成上、学習期間の中盤~後半にかけて、フォローセッション(オブザーブセッション)という名のもと、受講生の方がコーチ役、私がクライアント役としてコーチングセッションを実施してもらう機会があります(セッション終了後には、私から受講生の方にフィードバックを行い、セッション力向上に役立ててもらっています)。
フォローセッション実施にあたり、セッション開始時にはコーチ役(受講生)からアイスブレイクや守秘義務を伝えてもらうのですが、時折、この際に感じる違和感があります。
その違和感とは「言いにくいことは言わなくても結構ですよ」というコーチ役からの一言です。
フォローセッション終了後に、この発言の意図をそれとなく尋ねてみるのですが、ほとんどの受講生からは以下のような返答が戻ってきます。
実は、私の拠点では、セッション開始時に上記のような言葉を使いなさい、などと言ったことは一度もありません。理由はシンプルで、そもそもクラステキストにそのような表記は一切無いし、「言いにくいことを言ってこそコーチングではないのか?」と考えるからです。
ちなみに、「国際コーチング連盟(ICF)が定める核となる能力水準(コア・コンピテンシー)」には、以下のような一節があります。
(コーチは)クライアントが現在の思考を超えて探索していくことに役立つ質問をしている(C.効果的なコミュニケーション「7.気づきを引き起こす」細目4より)
これは、「クライアントが現在の思考を超えて探索していく」ためには、コーチとクライアントとの信頼関係のもと、ときには、(コーチには)クライアントにとって居心地が悪くなるような質問をすることを厭わない勇気が求められる、と解釈できます。
それなのに、コーチから率先して「言いにくいことは言わなくても良い」と言ってしまうのは、ある意味、コーチのあり方を否定しているような気がしますし、クライアントのことを信じていない、とも受け取れるのです。
GCSの受講生の中で、なぜこのような言葉が浸透しているのかよくわかりませんが(思うに、クライアントへの気遣いから生まれた発言だと思いますが)、私からすると、物事の本質を見落としてしまっているように感じてしまい、残念でなりません。
もし、私がこの場面でクライアントに伝えることがあるとしたら、きっと以下のように伝えることでしょう。
「言いにくいことがあっても、私はあなたを信じて待っているから、しっかりと考えて言葉にしてみてくださいね。」
答えを急ぐ現代のビジネスパーソンに、戦略的に思考の「余白」をつくり出す。これこそが対話によるコーチングの醍醐味と言えるでしょう。
情報の波を留め、マインドフルに自分の内面に向き合う時間は、クライアントに表面的な答えを超えた納得感をもたらしてくれます。
人間だからこそ、プロコーチだからこそできる「本物の対話」が、クライアントの孤独を和らげ、次なる変容へと導いてくれるのです。
コーチングオフィス エン代表 大石 典史