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コーチングの「守破離(しゅはり)」

投稿日:2026年10月30日 BLOG

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「守破離(しゅはり)」とは何か?

「守破離(しゅはり)」という言葉をご存知でしょうか?

もともとは能楽の世阿弥らが説いた芸道の思想であり、千利休の茶道などにも受け継がれてきた概念で、日本の伝統芸能において、師の教えを守り、修業を通じて成長していく段階を表した言葉です。具体的な意味は以下のとおりです。

【守(しゅ)】:師の教えや「型」を忠実に守り、身につける段階
【破(は)】:基本を理解した上で他の良い部分を取り入れ、自分なりの工夫を加える段階
【離(り)】:「型」や手法にとらわれず、独自の新しい境地を開拓する段階

この「型を守り、破り、離れていく」プロセスは、実は、現代のさまざまなスキル習得や、私の専門領域であるコーチングの成長プロセスと非常によく重なるように思います。

では、クライアントの能力や可能性を引き出すための「自分らしいスタイル」を確立していくために、コーチは具体的にどのような段階を辿ると良いのでしょうか?
次に、コーチングにおける「守破離」について考えていきたいと思います。

コーチングにおける「守破離」を考える

1. 【守】「型」を忠実に実践する土台づくり

コーチングの学習を始めた段階は、まさに「守」の段階と言えるでしょう。

まず、コーチングの基本スキル(認める・聴く・質問する・フィードバックする等)や、会話を組み立てるスキル(GROWモデル、経験学習モデル等)といった、コーチングで使用する基本的なスキルを習得します。ここでは、自分のクセや思い込みをいったん脇に置き、学んだとおりのスキルやフレームを謙虚に実践する姿勢が求められます。

「型どおりに話すと、ついぎこちない対話になってしまう」と言いたくなるところですが、この段階での目標は、まずは相手の話を聴き、適切な「問い」が出てくるようにすることです。この土台づくりがその後の応用へと繋がっていきます。

2. 【破】クライアントに合わせて手法をカスタマイズする

「型」が身についてくると、次に訪れるのが「破」の段階です。

実際のコーチングでは、型どおりに進まない場面に何度も出くわします。クライアントとの関係性や当日のコンディション、話すテーマの性質等によって、画一的な「問い」だけでは思考が深まらないことは多々あります。

この段階では、身につけた「型」をベースにしつつも、フレームの順序を入れ替えたり、心理学などの別のアプローチを取り入れたりと、クライアントに合わせて調整を行います。
「破」とは、決して基本を軽視するということではなく、クライアントの可能性を最大化するために「意図的に型を崩す」ということです。

3. 【離】「型」を手放し「自分という存在」で関わる境地

最終的な「離」の段階では、特定のスキルやフレームに対するこだわりを手放します。

「離」とは、目の前のクライアントの言葉や表情、また、その場の空気に全身で集中し、直感的に対話ができる状態と言って良いかもしれません。この状態に到達すると、手法ではなくコーチ自身の「あり方」がその場に安心感を与え、クライアントの深い気づきを生み出すようになります。

「型」に囚われない自然体の対話を実践することで、「自分らしいスタイル」に辿り着くことができると言えるでしょう。

「型無し」ではなく「型破り」を目指す

「型」という基本を持たないまま独自性を求めてしまうと、それは「守破離」ではなく、単なる「型無し」になってしまいます。「型」があるからこそ破ることができるのであり、それが「型破り」ということなのです。言い換えれば、「手放す」ことは前提として「型」があるからこそできることなのです。

果たして、あなたは「守破離」のどの段階にいるのでしょうか?
たとえどの段階にいたとしても、迷ったときに戻る場所は「守(=基本)」になるのだと思います。
私なりの持論ですが、この現在地と「守(=基本)」の往復こそが、コーチとして成長していくためには欠かせないプロセスになると考えています。

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対話によるコーチングの価値とは?

答えを急ぐ現代のビジネスパーソンに、戦略的に思考の「余白」をつくり出す。これこそが対話によるコーチングの醍醐味と言えるでしょう。

情報の波を留め、マインドフルに自分の内面に向き合う時間は、クライアントに表面的な答えを超えた納得感をもたらしてくれます。

人間だからこそ、プロコーチだからこそできる「本物の対話」が、クライアントの孤独を和らげ、次なる変容へと導いてくれるのです。

コーチングオフィス エン代表 大石 典史

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