投稿日:2026年09月25日 BLOG

組織論・リーダーシップ論の思想家・著述家であるサイモン・シネック氏が提唱した「ゴールデンサークル(理論)」をご存知でしょうか?
この理論は、TEDトーク『優れたリーダーはどうやって行動を促すか』の中で同氏が紹介しているもので、人々を引きつけるリーダーや企業がどのように考え、行動し、伝えるかを示すフレームワークです。結構有名なものなので、ご存知の方も多いかもしれません。
具体的には、ゴールデンサークルは3重の円から構成されており、中心から順に「Why(なぜ)→ How(どうやって)→ What(何を)」のステップで思考を整理していきます。
同氏の主張は、「優れたリーダーや企業は、最も外側にある「What」からではなく、最も内側(中心)にある「Why」から伝えよ(始めよ)」というものです。
自分の「Why」を明確にし、それに共感するファンや仲間を増やすことが、持続的な成果や強いエンゲージメントを生み出す鍵である、と説いています。
結論から言えば、この理論は、組織内外の共感やモチベーションを高めるために、あらゆる分野で活用できそうです。
商品の機能(What)ではなく、開発思想やブランドの信念(Why)を打ち出したプロモーション活動など。効果としては、価格競争を回避し、ロイヤリティの高いクライアントを獲得できる。
自社のミッションやビジョン(Why)を中心に据えた求人募集や面接など。効果としては、条件面(What)を目当てにする人ではなく、自社の理念に深く共感した人材が集まりやすい。
企業理念の浸透やチームの目標設定、また、プロジェクトの方針伝達など。効果としては、単なる業務命令(What)ではなく、なぜそれをやるか(Why)を明示することで、メンバーの内発的動機や一体感が生まれやすくなる。
私がコーチとして活動している中で感じることは、この理論はコーチングセッションにおいても大いに活用できるのではないか、ということです。
具体的には、セッションにおいてクライアントの内発的動機を引き出し、真のゴール設定へと導く強力な「問い」のツールになり得るということです。
例えば、コーチングセッションにこの理論を取り入れると、以下のような展開になるのではないでしょうか(以下、私なりの考え方です)。
コーチングセッションでは、ついつい「What(何を)」を先行し、それを「How(どうやって)」行動に移すかということを考えてしまうものですが、これを敢えて「Why(なぜ)」から始めることで、クライアントは自分の内側から突き動かされるような行動を選択できるようになっていくのです。
答えを急ぐ現代のビジネスパーソンに、戦略的に思考の「余白」をつくり出す。これこそが対話によるコーチングの醍醐味と言えるでしょう。
情報の波を留め、マインドフルに自分の内面に向き合う時間は、クライアントに表面的な答えを超えた納得感をもたらしてくれます。
人間だからこそ、プロコーチだからこそできる「本物の対話」が、クライアントの孤独を和らげ、次なる変容へと導いてくれるのです。
コーチングオフィス エン代表 大石 典史