投稿日:2026年09月18日 BLOG

「影響の輪」と「関心の輪」という言葉をご存知でしょうか?
この言葉は、スティーヴン・R・コヴィー氏の『7つの習慣』の中に登場するもので、「自分の時間」を何処に注ぐべきかを考えるためのフレームワークです。
『7つの習慣』は世界的ベストセラーになっていますから、仮に意味はうろ覚えでも言葉ぐらいは知っているよ、という方は多いかもしれませんね。
このフレームワークは、自分が関心を持つ事柄について、「コントロールできるもの(=影響の輪)」と「コントロールできないもの(=関心の輪)」とに区別して整理するものです。
より具体的に表すと以下のようになります。
コーチングセッションを行っていると、自分の「関心の輪」に焦点が当たり、それをテーマに選んだり、解決策に悩んだりするクライアントが意外にも多いことに気づきます。
このようなとき、コーチはクライアントに対してどのような働きかけをすると効果的なのでしょうか?
いわゆる「関心の輪」に焦点が当たってしまっているクライアントには、コーチの問いかけによって、自分自身がコントロールできる「影響の輪」へとシフトさせるようにします。
例えば、クライアントの思考が停滞または混乱しているような場合には、まずは、クライアント自身がコントロールできることと、できないことを客観的に整理させる質問が効果的です。
「あなたが変えられることと変えられないことは、それぞれどんなことですか?」
「現在の状況の中で、あなた自身がコントロールできることは何ですか?」
「起きている問題の中で、あなたが決められる要素には何がありますか?」
また、行動できないことを環境や相手のせいにしているような場合には、クライアント自身に焦点を当てた質問が効果的です。
「目指す環境をつくる前提として、あなた自身はどんな人物でありたいですか?」
「この環境を変えられない中で、あなたが変えられることは何ですか?」
「あなたの意志のみで始められる最初の行動はどのようなものですか?」
クライアントはこのような問いに向き合うことで、思考を「関心の輪」から「影響の輪」へとシフトさせることができるようになるでしょう。
この「影響の輪」に焦点を当てるという考え方は、クライアントとのセッションの場に限ったことではありません。実は、私たちの普段の仕事や日常においても、非常に役に立つ考え方なのです。
私自身の経験をお話ししますと、例えば、他のコーチが自分より活躍している様子をSNSなどで見たときなどは、少なからず心がざわつくわけですが(笑)、それは、その時点ですでに「関心の輪」に焦点が当たっているということですよね。
そんなとき、私は「関心の輪」に焦点が当てている自分に気づき、「影響の輪」に焦点を当て、自分にできることに集中することで、平静を保つようにしています。
このとき大切なことは、「関心の輪」に焦点を当ててしまう自分を否定するのではなく(そもそも無理な話なので)、「関心の輪」に焦点を当てている自分にまずは気づけるように、マインドフルネスの姿勢を持つことなのです。
答えを急ぐ現代のビジネスパーソンに、戦略的に思考の「余白」をつくり出す。これこそが対話によるコーチングの醍醐味と言えるでしょう。
情報の波を留め、マインドフルに自分の内面に向き合う時間は、クライアントに表面的な答えを超えた納得感をもたらしてくれます。
人間だからこそ、プロコーチだからこそできる「本物の対話」が、クライアントの孤独を和らげ、次なる変容へと導いてくれるのです。
コーチングオフィス エン代表 大石 典史