投稿日:2026年08月21日 BLOG

とある企業のリーダー(Aさん)とのセッションにおける話です。
その日のAさんとのテーマは「メンバーが主体的に動けるチームづくり」というものでした。
背景としては、Aさんが転職した会社で2年を過ごした後、4名程のメンバーを預かるチームリーダーになったものの、全体的にメンバーの士気が低いというか、率先して行動しようとする雰囲気が感じられない、というものでした。
そこで、このテーマで話を進めていくのですが、Aさんからは、「●●さんは、他の人たちと比べると主体的に動いてくれるのだけど」とか、「・・・すれば、皆が自発的に動いてくれるのかなぁ」という発言が聞こえてきます。
その発言を受けて。私はAさんに下記のように尋ねてみました。
「Aさんからは"主体的"と"自発的"という2つの言葉が出てきましたが、Aさんはメンバーにどちらを求めているのでしょうか?」
それを聞いたAさんはキョトンとして、このように続けます。
「主体的も自発的も同じ意味ではないのですか?」
「主体的」と「自発的」。
これらの言葉は、同じような意味として扱われることの多い言葉のひとつですが、実は明確な意味の違いがあります。すなわち、
この言葉の意味を今回のテーマに当てはめると、Aさんがメンバーに求めるものとしては、段階を踏む必要がありそうだということに気づきます。具体的には、「主体的に動ける」前に、まずは「自発的に動ける」ことが大事であるということです。
このことをAさんと共有した上で再度目標設定してもらうと、Aさんがメンバーに求めているものは、最終的には「メンバーが主体的に動ける」ことだが、最初の段階としては、まずは「メンバーが自発的に動ける環境をつくること」になりました。
言葉の曖昧性は、日本語の特長でもあり、相手とのコミュニケーションを円滑にする上では大切にすべきことなのかもしれませんが、コーチングセッションを行う際には、ときとして、それがセッションの迷走の入口になる可能性をはらんでいます。
そうならないために、コーチにはクライアントの発した言葉に敏感になることが求められますが(もっとも敏感になり過ぎることもどうかと思いますが)、一方でそれは、すぐに身につく習慣でもないような気がしています。
では、習慣化するためにはどうすれば良いのかという話ですが、個人的意見としては、日頃の生活や仕事において「類似する2つの言葉」に出会ったときに、それらの言葉の意味をその場で調べること、そしてその習慣を継続することが有効のように感じています。
最近はネットやAIですぐに調べることもできるので、一度実践してみることをお勧めします。
答えを急ぐ現代のビジネスパーソンに、戦略的に思考の「余白」をつくり出す。これこそが対話によるコーチングの醍醐味と言えるでしょう。
情報の波を留め、マインドフルに自分の内面に向き合う時間は、クライアントに表面的な答えを超えた納得感をもたらしてくれます。
人間だからこそ、プロコーチだからこそできる「本物の対話」が、クライアントの孤独を和らげ、次なる変容へと導いてくれるのです。
コーチングオフィス エン代表 大石 典史