投稿日:2026年08月07日 BLOG

「プライドを持つ。プライドを捨てる。両方できなきゃダメなんだ!」
この台詞を見て、織田裕二さんの顔や叫ぶ姿を思い出せるあなたは、きっと40代以上の方です(笑)。
これは、1990年代に織田裕二さんがスズキの軽自動車セルボモードのCMキャラクターを務めていたとき、ご本人がCMの中で叫んでいたものです(たしか)。
当時の若手人気俳優が放ったこの台詞は、同じ時代に営業職としてもがき苦しんでいた私にとって、衝撃的であり、かつ勇気づけられるような言葉であったように記憶しています。
参考までに、スズキ自動車がこのCMで伝えたかったメッセージは、おそらく、こういうことだったのではないかと推測しています。
この一見矛盾するような二つ(二律背反)を両立させようとしてこそ、「本当に良いモノづくりができ、ユーザーに届けることができる」ということを、私たちに伝えたかったのではないでしょうか。
二律背反とは、本来の意味としては「相互に矛盾する二つの命題(法則や主張)が、どちらも論理的に正しい根拠を持ちながら、同時に両立できない状態を指す哲学用語」となりますが、日常的には「正反対の性質を持つものごとが対立し、どちらか一方を立てるともう一方が立たなくなるジレンマ」というような意味で使われることが多いようです。
なので、本来、二律背反は「両立しない」ことが前提になるわけですが、これを両立させようとする姿勢が、コーチングにおいても求められる気がしています。
具体的には、コーチがクライアントをサポートする際には、「さらけ出す」と「演じる」という、一見矛盾するような二つの姿勢を合わせ持つことが求められるということです。
この二つの姿勢について、もう少し詳しく見ていきたいと思います。
この「演じる」について誤解のないように補足しておきますと、「嘘をつく」とか「自分を偽る」ということではなく、その時々において「最も適切な役割を選択する(演じる)」と捉えるとわかりやすいと思います。
ここでお伝えしたいことは、クライアントをサポートし目標達成へと導くためには、コーチは状況に応じて「さらけ出す」「演じる」の両方の実践が必要である、ということです。
言い換えれば、コーチには「バランスを取ること」が常に求められているのであり、この実践を通じて、コーチには優れた柔軟性や自己管理能力が養われていくのだと思います。
それはつまり、プロフェッショナルとして成長していく姿であると同時に、クライアントに真の影響力を与えていく姿でもあるのです。
答えを急ぐ現代のビジネスパーソンに、戦略的に思考の「余白」をつくり出す。これこそが対話によるコーチングの醍醐味と言えるでしょう。
情報の波を留め、マインドフルに自分の内面に向き合う時間は、クライアントに表面的な答えを超えた納得感をもたらしてくれます。
人間だからこそ、プロコーチだからこそできる「本物の対話」が、クライアントの孤独を和らげ、次なる変容へと導いてくれるのです。
コーチングオフィス エン代表 大石 典史