投稿日:2026年10月23日 BLOG

国際コーチング連盟(ICF)におけるメンターコーチングという制度をご存知でしょうか?
ICFにおけるメンターコーチングとは、セッション力向上(特にICFが定めるコア・コンピテンシーの習熟)のために受けるコーチングであり、自己実現などの一般的なテーマでのコーチングとは異なります。
具体的には、メンターコーチングを受ける人(=メンティ)は、自身が行ったセッションについてメンターコーチからフィードバックを受け、自身のセッション力の改善に役立てるという性質のものです。
このメンターコーチングには厳格な規定があります。
それは「ICF認定コーチから10時間・3ヶ月以上にわたりメンターコーチングを受ける」というもので、これはICF認定資格取得要件のひとつになっています。
参考までに、今年に入ってから、ICF認定基準改定に伴うメンターコーチングと評価方法の変更が発表されています。ここでの詳細説明は省きますが、これからICF認定資格取得を目指す方は、ICFやGCSのウェブサイトで確認しておくことをお勧めします。
先日、あるメンティの方から、以下のような相談を受けました。
それは、ご自身がコーチとして行うセッションの中で、「クライアントの行動を促す際に、伝え方が強要的になってしまうのではないかと思い、言葉の選択に迷ってしまうことがある」というものでした。
その方の中にある迷いの根っこには、コーチとクライアントの関係は「協働関係(=パートナーシップ)」のはずだが、行動を促す際にはなぜか「上下関係(=コーチが上、クライアントが下)」のような心理状態になってしまうことがあるようでした。
ところで、コーチングで行動を促すスキルのことを「リクエスト」と言いますが、この言葉には「要求」とか「要望」といった意味があるため、何となく上から下へ伝える行為のように捉えられているかもしれません。
そこで私は、メンティの方に下記のような助言をしてみました。
それは、クライアントに行動を促す際、「強要」ではなく「共有」するつもりで伝えてみたら良いのでは、というものです。
コーチとクライアントの関係が協働関係であるならば、そこは徹底して最後まで「共有する」意識を持つことが大切であるように思います。
具体的な伝え方で言うと、以下のようになるでしょうか。
強要(的):
「ぜひ、それをやってみてください!」
「行動した結果を次回のセッションで教えてください。」
共有:
「やってみた結果について、私はどうすればわかりますか?」
「次回までに、私にどんなフォローアップを望みますか?」
いかがでしょうか?
「強要」と「共有」。ひらがなにすればたった一文字の違いですが、クライアントに与える印象や影響は大きく変わってきます。
行動を促す際の伝え方について迷っている方には、ぜひ実践してみることをお勧めします。
答えを急ぐ現代のビジネスパーソンに、戦略的に思考の「余白」をつくり出す。これこそが対話によるコーチングの醍醐味と言えるでしょう。
情報の波を留め、マインドフルに自分の内面に向き合う時間は、クライアントに表面的な答えを超えた納得感をもたらしてくれます。
人間だからこそ、プロコーチだからこそできる「本物の対話」が、クライアントの孤独を和らげ、次なる変容へと導いてくれるのです。
コーチングオフィス エン代表 大石 典史