投稿日:2026年01月09日 BLOG

あなたは、日常生活や仕事の中で、「有言実行」や「不言実行」という言葉を聞いたことや使用したことがあるのではないでしょうか。
インターネットで調べてみると、有言実行とは「発言したことを責任もって実践すること」とあり、不言実行とは「(文句や理屈を言わずに)黙ってすべきことを実行すること」とありました(いずれもデジタル大辞泉より)。
ところで、これらの言葉は、先に「不言実行」が存在しており、「有言実行」は前者をもじって作られた言葉ということをご存知でしたか?
たしかに私の学生時代にこのような言葉は存在しておらず、感覚的には2000年代頃から広く使われるようになり、やがて社会に定着したような言葉のように感じています。
現在では、時代性からか「有言実行」の方がポピュラーに使われている印象がありますが、個人的には「不言実行」の方がしっくりくるというか、性に合っているような気がしています(単純に私が昭和生まれだからかもしれませんが笑)。
次に、これらの言葉とコーチングとの相性について考えてみたいと思います。
結論から言えば、コーチングにおいては、コーチにはクライアントに行動を促す責任が伴うことから、「有言実行」の方が「不言実行」よりも相性が良いと言えるでしょう。
理由としては、コーチがクライアントの行動を促すということは、その前提にコーチとクライアントとの間で情報共有できているということであり、そのためにはクライアントはコーチに対して"有言"でなければいけないということです。
さらには、クライアント自身がコーチに対して"有言"であることで、クライアント自身が行動しやすくなるという効果も期待できます。
一方で「不言実行」は、コーチとクライアントの関わりではなく、コーチ自身に求められる姿勢という点で重要だと考えています。
コーチは時にクライアントのロールモデル(模範)として、クライアントに気づきを与えたり、目指す方向へ導いたりする存在となりますが、その方法は決して「教える」「指導する」ということではありません。
コーチとして大切なのは、「あり方」であったり、行動した結果(=実績)であったりすることが多く、それはすなわち「背中で語る」ことであり、言い換えれば「不言実行」の姿勢を見せることが大切だということです。
まとめますと、コーチがクライアントに求めるのは「有言実行」であり、コーチ自身に求められるのは「不言実行」の姿勢ということになるでしょうか。
世の中にはさまざまなコーチがいますが、私はかくありたいと思っています。
答えを急ぐ現代のビジネスパーソンに、戦略的に思考の「余白」をつくり出す。これこそが対話によるコーチングの醍醐味と言えるでしょう。
情報の波を留め、マインドフルに自分の内面に向き合う時間は、クライアントに表面的な答えを超えた納得感をもたらしてくれます。
人間だからこそ、プロコーチだからこそできる「本物の対話」が、クライアントの孤独を和らげ、次なる変容へと導いてくれるのです。
コーチングオフィス エン代表 大石 典史