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「五事七計」について(1)

コラム:2017/11/10

こんにちは。
コーチングオフィス エンの大石です。
いつもありがとうございます。

11月も中盤に差し掛かり、秋も深まってきた第2金曜日の今日は、
中国古典『孫子』について書きたいと思います。

「五事七計」

『孫子』マニア(?)の方で、この言葉を知らない方はいないでしょう。
このことは、『孫子』の「計篇」の最初の一節に出てきます。
(『孫子』 金谷治訳注 岩波文庫 より抜粋) 



「孫子曰わく、兵とは国の大事なり。死生の地、存亡の道、察せざるべからざるなり。
故にこれを経(はか)るに五事を以てし、これを校(くら)ぶるに計を以てして、其の情を索(もと)む。」

孫子はいう。戦争とは国家の大事である。[国民の]死活が決まるところで、
[国家の]存亡のわかれ道であるから、よくよく熟慮せねばならぬ。
それゆえ、五つの事がらではかり考え、[七つの]目算と比べあわせて、その時の実情を求めるのである。



戦争といった国家の一大事には「五つの事柄」と「七つのスケール」をもって、
行うか行わないかを合理的に判断せよ、という解釈ができそうです。

まず「五事」とは具体的にはどういうことでしょうか。
「計篇」の続きを読んでみたいと思います。



「一に曰わく道、二に曰わく天、三に曰わく地、四に曰わく将、五に曰わく法なり。
道とは、民をして上と意を同じくせしむる者なり。故にこれと死すべくこれと生くべくして、危(うたが)わざるなり。
天とは、陰陽・寒暑・時制なり。地とは、遠近・険易・広狭・死生なり。
将とは、智・信・仁・勇・厳なり。法とは、曲制・官道・主用なり。
此の五者は、将は聞かざること莫(な)きも、これを知る者は勝ち、知らざる者は勝たず。」

[五つの事というのは、]第一は道、第二は天、第三は地、第四は将、第五は法である。
[第一の]道とは、人民たちを上の人と同心にならせる[政治のあり方の]ことである。
そこで人民たちは死生をともにしても疑わないのである。
[第二の]天とは、陰陽や気温や時節[などの自然界のめぐり]のことである。
[第三の]地とは、距離や険しさや広さや高低[などの土地の情況]のことである。
[第四の]将とは、才智や誠信や仁慈や勇敢や威厳[といった将軍の人材]のことである。
[第五の]法とは、軍隊編成の法規や官職の治め方や主軍の用度[などの軍制]のことである。
およそこれら五つの事は、将軍たる者はだれでも知っているが、
それを深く理解している者は勝ち、深く理解していない者は勝てない。



「五事」とは「道・天・地・将・法」のことを言い、
将たる者はこれらのことをただ知っているだけでなく、
深く理解していることが肝要である、と言っています。

ところで、この考え方は、そのまま会社組織にも当てはまるのではないでしょうか。

つまり、「道」とは会社の経営理念や組織・チームの目標のことであり、
「天」とは事業活動のタイミングのことであり、「地」とは立地条件のことであり、
「将」とはリーダーとしての資質・能力のことであり、
「法」とは組織におけるルールや管理体制のことである、と言えそうです。

『孫子』の素晴らしいところは、単に「五事」を並べ立てているだけでなく、
それらをどんなスケールをもって計る(判断する)のかを示している点にあります。

次回(11月第4金曜日)のコラムでは、この「五事」をどのように
スケーリングするのかを示した「七計」について考えてみたいと思います。
どうぞお楽しみに!

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