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「君命に受けざる所あり。」

投稿日:2018年12月14日 コラム

こんにちは。
コーチングオフィス エンの大石です。
いつもありがとうございます。

12月に入ってからというもの、前半は寒暖の差が激しく、
冬らしさを感じさせていませんでしたが、ここ数日は、
ようやく(?)冬らしい気温になって来ましたね。

毎月第2・4週を中心に綴ってきた中国古典『孫子』の
コラムも今回が年内最後となります。

少し前の話になりますが、ある大手企業でコーチングをメインにした
企業研修プロジェクト持ち上がり、私は企画段階から打合せに参加していました。

担当者との相性も良く、講師のデモンストレーションにおいても
高評価をいただいていたので、このままスムーズに進むかと思ったのですが・・・
ある時、担当者の上層部から思わぬ"横槍"が入りました。

同社において別会社で主催したコーチング研修の評価が思わしくなく、
「今後のコーチング研修のあり方を見直すように」とのことで、
順調に進んでいた私達の研修自体まで白紙に戻ってしまったのです。
さらに、気の毒なことに、その担当者は当該プロジェクトからも外れることに。

この時、私は、思わず『孫子』「九変篇」の下記の一節を思い出しました。
(『孫子』金谷治訳注・岩波文庫)



「塗(みち)に由らざる所あり。軍に撃たざる所あり。
城に攻めざる所あり。地に争わざる所あり。君命に受けざる所あり。」

道路は[どこを通ってもよさそうであるが]通ってはならない道路もある。
敵軍は[どれを撃ってもよさそうであるが]撃ってはならない敵軍もある。
城は[どれを攻めてもよさそうであるが]攻めてはならない城もある。
土地は[どこを奪取してもよさそうであるが]争奪してはならない土地もある。
君命は[どれを受けてもよさそうであるが]受けてはならない君命もある。



上司から受ける指示・命令が、時として現場では的外れであることがあります。
それは、上層部の無知による誤った指示・命令であることもあれば、
会議で決議された時は正しい判断だが、現場は刻々と状況が変わるため、
結果的に的外れな指示・命令になってしまうこともあります。

このような時、『孫子』では「現場の判断で上司の指示・命令に背くことも許される」
と述べているのです。

個人的な意見を言えば、この担当者にはぜひこれを実践して欲しかったのですが、
現代社会において上記のように動くことは、なかなか難しいのかもしれませんね。
特に今回のような大手企業の中の話であれば尚更でしょう。

ですが、もし担当者が上層部ときちんとリレーションを取れていれば、
「君命に受けざる」こともできたのかなぁと思うと残念でなりません。

元々この言葉は「上司に知識があってもそれが実践に活かさなければ意味がない」
ことを皮肉った言葉とのことですが、私には別の教訓を与えてくれました。

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今、なぜ、コーチングなのか?

現代人の多くは、必要な“モノ”は一通り持っています。

このことから、人々の欲求は、次第に“モノ”から“コト”へと移行しつつあり、それに連動するかのように、人々の価値観は、“結果”から“プロセス”へと移行し始めています。

現代においてコーチングが支持されるのは、私たちコーチが、「クライアントとパートナー関係を築くことにより、クライアントの目標達成までのプロセスを管理できる専門家」だからと言えるのではないでしょうか。

コーチングオフィス エン代表 大石 典史

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